完全に猫なのさ

2年目ベイベーが及川光博さんについて書くブログ

及川光博さん演じる黎で9億点の連ドラ/「スミカスミレ」感想(全8話/2016年、テレビ朝日)

 

テレビ朝日、2016年/視聴方法:Amazonプライムビデオ)

 

「引っ越し大名!」で殿の和服成分に惹かれて、初めて普通の連ドラの一気見をしました。

このドラマについては、及川光博さん演じる黎(れい)で9億点ということで、早々に結論が出ております。

及川さんの役どころ、屏風から解き放たれた化け猫で、霊力により人化して黒い和服姿でそこにいるんですよ。ペルシャの子猫を抱いて。このビジュアルを見た瞬間に脳の考察部門が解散しましたので、振り切ってそういう目で楽しみました。

※この時点では1話を見始めたところ、このあと8億点が加算された

 

(以下、ネタバレあります)

 

 

 

 

とにかく黎が尊い

 

(以下、公式アカウントのツイートをお借りします。眼福…)

ちょいハネのおぐし、奥二重の鋭い目つきにすこーしマスカラ、気品あふれる和服の所作で1億点です。

 

さらに外出スタイルはハットに黒フレームの丸メガネにケープを羽織っております!3億点です。

 

終盤、再び霊力を分け与えてすみれの元から姿を消した後、再会のシーンでは黎はなぜか黒スーツのインテリヤクザだったわけです。

黒塗りの車から高層ビルの車寄せに降り立つ黎。ホテルの壁に、無駄にカッコいいポージングでもたれる黎。

5年後に再び姿を現した黎が、なぜ服装や髪型を一変させ、新興企業のCEOのような風体なのか。それが霊力の減弱と何の関係があるのか。この展開についてはドラマ内では一切説明がありません。が、そんなこたぁどうでもいいんだよ。5億点です

 

 

ちゃんと〈少女漫画〉であること

ここでちょっくら、黎というキャラクターの魅力を真面目に紐解いてみますよ(正座)。

Sっ気のある「お前」呼びから、契約を機に“礼節をわきまえて”敬語と「すみれ様」呼びに変わる主従萌え。

仏頂面でチョコケーキを頬張ったくせに物欲しそうにもう1切れを見たり、和服姿で姿勢良く正座しながら猫じゃらし、などなど枚挙にいとまがないギャップ萌え。

危機一髪の場面で神出鬼没に現れて、ときにはお姫様抱っこでヒロインを救うヒーローの方程式。

「子(ね)の刻」に術が解けてしまうことを説明しつつ「今風の言葉で言えば…ねこ、まっしぐら」と言ってみたり*1、ヒロインを襲おうとした男2人に術をかけてBL展開にしてみたり、という漫画的ギャグ(これはどちらも黎が大真面目だからこそギャグとして成立する)。

これらはすべて、少女漫画の人気キャラクターが普遍的に備えている魅力と言っていいでしょう。つまり及川さんは、原作が持っている良さを、ちゃんと少女漫画的に体現しているんだと思うのです。漫画っぽくていいんだよ、だって漫画なんだから!

 

及川光博の“存在力”

黎というキャラクターが少女漫画的な魅力を炸裂させる一方、ストーリーの設定は「化け猫」をモチーフにした日本的なおとぎ話でした。

さらに、子の刻(23時〜1時)に術が解けるドラマオリジナル設定は「シンデレラ」、霊力の口移し(=キス)や最終回のプロポーズで封印が解けるのは「白雪姫」「カエルの王子様*2」などを想起させて、ちょいちょいグリム童話だったのが興味深かったです。

黎は、こうしたファンタジーの非現実へヒロインと視聴者を誘う重要な存在でした。だからこそ説得力が必要!なのです!コスプレっぽくなく、真実味を帯びて画面に存在するということが!!

 

及川さん、いわゆる憑依型俳優とも違う気がするし、誤解を恐れずに言えば演技が上手いというよりは、画面における存在の仕方が天才なんだと思う。作品や場面ごとに求められているものを的確に理解し、プレゼンスを爆発させて、受け手をねじ伏せるように説得する力。演技力はあくまでも、この“存在力”の範疇に備わっていると理解しました。

すみれと真白の物語はともすれば平板になりかねない美男美女のラブストーリーでしたが、黎という圧倒的なキャラクターを及川さんが説得力をもって演じ切ったこと、これが作品の強度を高めたのは間違いないと思います(言ってしまえば一番おいしい役なのだ…!)*3

*4

 

 

 

連ドラの結末ではすみれと真白が結ばれたけれども、原作を3巻まで読み、こ、これはもしや黎様ルートがあるのでは……と確信した。読まねば…

原作の黎はこれまた美麗なのよね…

 

 

なお、黎の一番好きなセリフは「ねこ、まっしぐら」でした。(そこかよ)

 

 

 

 

*1:漫画的と言いつつも興味深いのが、子の刻に65歳の「澄」に戻ってしまうという設定がドラマオリジナルであるということ。

*2:原典では姫はカエルにキスしてなくて壁に叩きつけている、けっこうひどくないか

*3:なお、説得力に関して補足すると、第1話の澄(松坂慶子)が名演でした。祖母と親の世話をして看取り、気づけば天涯孤独になっていた澄。主張せず人を押しのけず生きてきたことが痛いほどわかり、だからこそ、黎との契約のきっかけとなる涙ながらのセリフ「人生をやり直したい」には強烈な説得力があったと思いました(ちょっと泣いた)。

*4:思い出し補足、ヒロインをいじめる気の強い女子たち、大学生にしちゃ精神的に幼いなぁと思ったら原作の設定は高校生だったのでなるほどであった。ミッチーはこういうダークサイドに堕ちてる女の子がいたらお説教したくなるのかな