完全に猫なのさ

とあるスターと、いろんなエンタメについて書くブログ I'm here for you.

蛇とか縄とか〜「漂流街~THE HAZARD CITY~」感想(2000年)

 

漂流街~THE HAZARD CITY~ [DVD]

漂流街~THE HAZARD CITY~ [DVD]

  • 出版社/メーカー: 大映
  • 発売日: 2001/07/13
  • メディア: DVD
 

少し前にWOWOWで放送されたものを録画していて、このたび観ました!

2000年ということで、ミッチーの俳優としてのキャリアではかなり初期にあたるかと思います(1998年「WITH LOVE」がドラマデビュー)。

 

さて、もともとバイオレンスは超苦手ということもあるのですが、冒頭、どうみてもアメリカとかメキシコじゃない?的な砂漠の遠景に「埼玉県戸田市」のテロップが出たため、筋書きを追うことを潔く諦めました

 

というかこの映画に出てくる人物は3分に1人くらいのペースで人を撃ち殺すので、もう色白つるつるで蛇みたいな表情の若ミッチーだけを摂取しようと割り切るしかなかったよ。以下ネタバレあるんだかないんだか、簡単な感想です。

 

顔面で120点の役

舞台は「多国籍化した日本」だそうで、おおまかな筋書きは、マーリオ(ブラジル人)とケイ(中国人)というカップルの逃避行。及川さんの演じるコウは、ケイの元カレ?的な因縁のある人物で、中国系マフィアの冷徹なボスでした。闇の闘鶏場を仕切っている設定でしたが、鶏が2000年当時のフルCGでしたのでやっぱり内容が頭に入ってこなかったよね。

ちょっと舌っ足らずな若ミッチーが、中国語、ならびに片言の日本語でセリフを話します。そこに「いけない。それ、troubleのもと。」なんて無駄に発音の良い英単語が混ざるともうカオス。カヨコ・アン・パタースン特使*1もびっくりよ。ZARAはどこ!?

(すげえ脱線した)

乱れのないオールバックに、細く薄く整えられた眉、感情を宿さない目。白蛇の擬人化ですよ。血色のない、いかにも酷薄そうな顔面が、多国籍の俳優が入り乱れる濃厚な画面でひときわ目立っていました。今でこそ、人気俳優として地位を確立している及川さんですが、当時はあきらかにこういう顔面のニーズでもってキャスティングされたのではないかなぁ…。なのでこの時点で及川さんは既に120点の仕事をしているわけです。

コウが連れ歩いている腹心の部下(リク)が、まったく同系統の顔立ちであることにも意図を感じました。闘鶏場のシーンでコウに耳打ちし、しばし頬を寄せているシーンは美しかったですね…。

コウの服装は、かっちりしたスーツに薄手のハイネックニットをあわせ、そこにネックレスをしたりしています。良き。なんかこう、中華マフィアがらみで『悪貨』を思い出すけれど、そういえば冬彦さんもハイネック着てなかったっけ…(再確認してないのであやふや)ハイネックって性癖じゃないかしら…。

 

緊縛、そして突然の卓球

元カノのケイに執着するコウ。当然、マーリオとの逃避行を邪魔します。ケイを思いながら人形を緊縛していたり、ついにはケイを拉致って大張り切りで縄をスタンバイ中々にやべーやつです。

そこに爆発と共に乱入するのが同じくマーリオとケイを追うヤクザの伏見(吉川晃司)。実質、彼が主人公なのかな?というくらいの扱いでとにかくカッコよく撮られていましたがクレジットはトメの位置でしかも「特別出演」。エーッ、、

怪しげなBGM*2が流れる中、コウと伏見の最終決戦はものすごくシュールでした。後ろ手を組み、泰然と待ち構えるコウの背後には卓球台。そして武器よろしく背後から繰り出したのは卓球のラケット(ペン型)。そして「卓球、しませんか」なんで??????

これは結局コウが仕掛けた罠だったわけですが…。サーブの瞬間にニヤリと笑って足でボタンを押し、回転刃の武器を発射させるも、間一髪、マトリックスのアレ*3でかわした伏見に撃たれてしまいます*4。えーん、ちょっとだけでもラリーが見たかったよう。「あっ…」と声を漏らしてラケットを取り落とし、へたり込むコウ。「見えない…寒くて…痛いだけ………」と言い残しあっけなく絶命するのですがこの横顔は美しいですね。鼻筋が際立って彫刻のようです。

なんか私、出演作はまだそれほど観てないはずなのにやたらと死に様を見てきた気がするのですが、系統としては、内藤薫の串刺しにも少し近いでしょうか。まあキャラクターの掘り下げからいっても内藤薫が圧勝だけど…!

 

20年前の東京の街並み

逃避行のストーリーとしては中々のバッドエンドなのでここでは割愛。

本筋に関係なく興味を惹かれたのは、20年前の渋谷や新宿の町並みでした。

渋谷の公園通りをずーっと、真っ黒なスーパーカーが上がってくるショットがあるんですけれど、その沿道に赤い電話ボックスが6回出てきたんですよね。もうないんだろうなぁ。新宿大ガードの前の付近にあったのは「あさひ銀行」(2003年まで)。一瞬ですがガングロギャルも写ったし、まっすぐで銀色の携帯電話からはアンテナがビヨンビヨン伸びていた。そういう、20年前の東京が切り取られているのはおもしろかったです。

 

 

ううう、若ミッチーは素敵だったけど、根本的にやはりバイオレンスは苦手だ。がんばりました。次はスイートなキスシーンとかそういうのが観たいなぁ…(直球)。

 

 

*1:シン・ゴジラ石原さとみさん演じた役

*2:これもシタールかな!?モラリティーのイントロのやつ

*3:マトリックスは1999年、時期的にオマージュなのだろうか

*4:ちなみに伏見のラケットはシェイクハンドだった