完全に猫なのさ

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ミュージカル「ローマの休日」感想/2020年10月11日昼(朝夏まなと・平方元基・藤森慎吾)

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海外旅行に行くことがとても難しくなってしまった昨今ですが、気持ちよい秋の日曜日に1枚のチケットでローマを旅してきました。その感想を簡単に書きたいと思います。

 

※ミュージカル初心者の感想です。ふだんはミッチーさんのベイベーをやっております!

※演出含め、ネタバレしてます!

 

観に行くことにした経緯

8月の帝劇コンで朝夏まなとに出会ったからです。

purplekuina246.hatenablog.com¥

ラクルによりめちゃくちゃ前で観る幸運にあずかったこの日。冒頭からきらびやかなエンタメを浴びてボロボロ泣いていたのですが、そんな中、私の目は気づくと、ベージュのドレスをまとった、すらりとした女優さんを追っていたのです。可愛い…。お目々が大きい!大人っぽくてスレンダーで、ダンスの所作がとってもきれい…!ドレスのお腹がぺったんこですごい。

その後、宝塚のトップスターでいらした方だと知り、「かわいいから」好きになってもいいのかなぁ、宝塚未履修なのに気が引けるなぁ…。とモジモジしていたのですが、主演のミュージカルがあると知り、「あ、行こう。」と思いました。

※昨年、ミッチーさんに出会い激しい泉落ちを経験したため、わりと受け入れるのが早かった気がする。

※2014年のNHKスペシャル「宝塚トップ伝説」(※こういうのは大好きでよく観ている)、の録画を引っ張り出したところ、ベルばらのお稽古のシーンで発見。嬉しかったです。

 

主要キャスト3人の感想

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アン王女(朝夏まなと)〜可憐と気品、生きる喜び

あ〜しょっぱなから語彙がない。あの、可愛かったです…。真っ白なローブデコルテに輝くティアラで登場…!赤絨毯の階段に椅子が置かれ、そこに座っているだけで存在全体が発光していました。私、幸運にも前から数えて五本の指に入るお席だったのでオペラグラスは持っていかなかったのですが、アン王女が階段に登場した瞬間、すぐ隣や斜め前のお客様がザッとオペラグラスを構えました。一瞬びっくりしたけどやっぱりわかる、お顔を見たい…!だって可愛いから!!!

帝劇コンのときから透き通るお声が素敵だなと思っていたのですが、トーンの高い、可憐な第一声にびっくりしました。でもこれは、のちに冒険を経て成長したことを示すための布石だったのですね。

お歌はメインテーマの「♪ローマの休日」のかけあいが超好きです!「心の窓〜♪」の高音の透明感たるや…!本当に男役さんだったのですか??

ジョーのアパートでおねむMAXの王女めちゃくちゃ可愛くないですか…。”彼シャツ”な木綿のパジャマにお着替えするところは、ドキドキしつつガン見しました。すみません。しかし、あんなにフラッフラふにゃっふにゃな動きをしながら、ズボラ感が一切なくて気品がまったく失われないのはすごい。何ですか魔法ですか。

名前を聞かれての「あんにゃ。」も可愛すぎだし。ああああ。

 

楽しみにしていたダンスも堪能しました♡長い手足が映える半袖ブラウスと青いスカートで、くるくるキラキラ回るアン王女。おみ足があらわになるほどの躍動感!今を生きる喜び、自由の尊さに溢れていました。っていうか、腕がめちゃくちゃ長くないですか。カフェのシーンで両腕を広げるところがあったけれど、3メートルくらいないですか(コンドルかよ)。半袖から出ているぶんの二の腕の長さ、どうなってますか。あとぺたんこサンダルを履いているのにその脚の長さ、どうなってますか。

記者会見のシーンについては後述しますが、思いがけずアン王女と握手し、言葉を交わした記者たちのリアクションのうち、上手中央の女性記者が口を両手で覆って感極まっていたので「わかりみ…」となりました。

 

ジョー・ブラッドレー(平方元基)〜甘さと、心根の優しさ

さっそくですが、道端に転がっていた王女に遭遇した時点であなたの人生は祝福されています。おめでとう。

月なみだけど、「優男」と評したらよいのか、「甘さ」がとても魅力的でした。頬のあたりにやわらかく浮かぶ表情が本当に優しくて。2幕にかけてそれがどんどん切なくなっていって、「かき抱いても…」という歌詞が印象的な「♪虹」、そしてラストシーンの表情で、私は爆泣きしました。どうやったらそんなお顔ができるんだろう。

1幕の仲間たちとのゴキゲンなナンバー、「♪それが人生」では、いきなり椅子の背をカッコよくまたぐ振り付け。いやだから脚の長さどうなってますか。

仲間とポーカーに明け暮れて給料を前借りする“昼行灯”な社員だとしても、優しさ、甘さをまとったジョーの姿には崩れきらない品の良さがあり、本当は、本気だせば仕事できる人なんだろうなって思います。

 

アーヴィング・ラドヴィッチ(藤森慎吾)〜そこにいるだけでワクワクさせてくれる存在

キャストを知ったとき、藤森さんって?あのオリエンタルラジオの藤森さん…???と思って興味がわき、藤森さんの回を見てみようと決めました。結論としては、アーヴィングがすっごくハマっていて魅力的でした!「♪それが人生」のダンスもいい感じに力が抜けていて、まさに「軽み」という表現がぴったりくる感じ。何より、そこにいるだけで何かしてくれるんじゃないか、とワクワクさせる力がある!どうしても、目の前にオーケストラの生音の壁があるから、もう少し歌が聴こえたらいいなとは思ったのですが、ハスキーな声質がいいアクセントになっていました。

アーヴィングって結構ひどい目にあわされるから(ジョーのせいで。)、椅子ごと後ろにひっくり返ったり(あれは何回お稽古して、何回本番でひっくり返るのだろう…プロの転びですね…)、お酒をぶっかけられたり(お衣装は基本的にずっとシミがある笑)するのだけど、彼が醸し出す明るさ、軽さのおかげで、悲愴な感じがぜんぜん出なくて楽しく観られました。

そして整列退場のアナウンスも楽しかった〜!「アーヴィングが退屈させませんよ〜!」の言葉どおり、藤森アーヴィングは、観客を終始ワクワクさせてくれる存在でした。

カーテンコールでは多幸感が大爆発!めちゃくちゃハッピーな気持ちで拍手をし、手を振りました。最後に3人が再登場してくれたのですが、エスコートしたがるアーヴィングにジョーが譲り、腕でゴシゴシして「えーん」って泣き真似してるのがチャーミングでした。そして最後の最後でちゃんとジョーに王女様をお返しするアーヴィング、くぅ〜粋だね!!その2人の間でニコニコぱやぱやしてるアン王女はもう可愛いしか言えない。

 

演出の感想〜気づけばローマを旅していた

ここからは、演出含めて全体の感想を書きます!

アン王女も、ジョーも、私たちも異邦人なんだ

いつ観たか忘れてしまったけれど、原作のお話は頭に入っているつもりでした。でも今回観劇して「そうか!」と思ったのは、このお話で"異邦人"なのはアン王女だけじゃなくて、アメリカ人の駐在記者であるジョーも同じだったということ。巨大な星条旗がかけられた新聞社で帰国の意思を歌うシーンは、そのことを強く意識させます。アーヴィングが「観光案内」を歌うように、この物語は異邦人から見たローマが舞台であり、だから私達にとってもローマを観光するような気分になれるのだと思いました。

 

ローマに行った感①迫力とケレン味にあふれた演出

それを実現するものの1つが、没入感の強いセットの数々!いやもう、ステージ上で終始円盤が回っていて、ばっこんばっこん建物が建ちますやん!?宮殿からスペイン広場、ジョーのアパートまで、いったいどうやってるんだ!?と思うくらいにリアルな風景が次から次へと立ち現れるので、もう、ほぼほぼローマにいたといっても過言ではないです。特に、かの有名なベスパ2人乗りで石畳を疾走するシーンは、中央にスクリーンの坂道を作り、その頂上にアン王女&ジョーonベスパを配置。スクリーンの坂道には石畳を(ネコチャンも!)、背景には街並みを高速で流して、すごく臨場感のあるシーンになっていました。

そうそう、そのベスパですよ。坂道のシーンの前、本当に2人を乗せて舞台を縦横無尽に走るではないですか!!こいつ、動くぞ…!!!てんやわんやするアンサンブルの皆さんとセットの間を縫って、ほんとうに乗り物として2人乗りしてる…!いったいお稽古でどんなふうに練習するので…?

こういった演出はたくさん実現されてきたのかもしれませんが、私は観劇経験が少ないので目をまんまるにして見ていましたよ…。

 

ローマに行った感②イタリア人のキャラクターたち

「ローマに行った感」を実現するもう1つの要素は、たくさん出てきたイタリア語。管理人夫妻の夫婦喧嘩など、全然何言ってるかわからないままのシーンをあえて出すことで、観客も「外国で言葉がわからない感じ」を一緒に味わうことになります。アーヴィングの同時通訳など、笑いを誘う演出にも生かされました。いや〜イタリア語、マジでわからんかったな…。何だっけ、オーソーレミーオ?的なのだけ、1箇所だけ聞いたことあるフレーズがあった気がします。

「イタリア人っぽさ」というのはだいぶ誇張してるんだろうけど、、美容師のマリオさんはマジでマリオって感じでよかったです(語彙)。髪を切るところ、どうやるんだろうって思っていたのですが、ウイッグの仕掛けでしょうか、チョキチョキチョッキン♪って毛束をぽいぽい切り落としていくのでギャー!!ってなりました。でもその後のシャンプー台を使ってのウイッグの早変わりはブラボーだったです!

 

コロナ禍の今、2人の心の交流に触れるということ

物語でもっとも重要な位置を占める、最後の記者会見のシーン。ショートヘアにボンネ、白いドレスのアン王女の凛とした佇まいに、息を呑みました。声の出し方から、自覚と覚悟が備わったことが伝わります。

ミュージカルという形式が一番生かされたと感じたのは、ここでアーヴィング含めた他の記者たちの動きが止まり、”時間が止まった”空間で、2人が心情を歌い交わす「♪ローマの休日」です。少し前まであんなに熱く抱擁を交わしていたのに、2人の間にはなんともいえない距離があり、でもその分、”離れていても確かに心が通い合っている”ことが感じられました。誰もがソーシャルディスタンスを強いられている今だからこそ、この距離の描き方は広く共感を呼ぶのではないでしょうか。

 

「休日」というのが本来の休日じゃなくて、公務や仕事を放り出して「サボった休日」というのがまた、甘美でいいですよね…。アン王女にとってもジョーにとっても、“異邦人”としてローマで過ごしたたった1日の休日は、永遠に輝き続けるのだと思います。

 

 

ということで1週間たちましたが感想を残してみました。他のキャストさんも素敵だろうなぁ〜と思いを馳せつつ、私もたった1日の休日の思い出に生きたいと思います…!

 

今日、生まれて初めて女優さんにお手紙を書くという経験をしたのですが(緊張した)、ぴったりな切手があったので選びましたよ。↓

 

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