完全に猫なのさ

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“夢中”な日々をありがとう/「最愛」最終回感想

遅くなりましたが、「最愛」の最終回について…!

毎回、感想をアップするまで寝かせ気味だったのだけど、その間も「そういえばあのシーンって…」と発見があったり、いい具合に自分の中でも感想が発酵するような感覚があるドラマでした。とはいえこのまま年を越すとやばいので書きます。

 

真相は愛で消えた、本当に。

まずはすべてが持ち越されて最終回で一気につまびらかになった、真相について。

いやもう…キャッチコピー通りすぎてびっくりしました。

「真相は、愛で消える。」消えたわ…。

「全ては、愛するがゆえに。」ほんとだわ…。

(語彙力ゼロでお送りしております)

 

大輝への疑惑という衝撃展開で終わった9話。そこから続く居酒屋の冒頭シーン、藤井の目がマジで怖かったです。岡山天音氏、底知れない。大輝のアリバイを証言できる“姉貴やらおかんやら”から「もう聴きました」と言ったとき、横にいた青木が血相を変えていました。

しかし疑惑がかかって晴れる、というのがある意味このドラマの定石だったので、ここでは新たな証拠=薬物の小瓶の発掘につながる展開に。そっかぁ青木…。なんでそんな忌まわしいものを持ち続けていたんだろうと思ったけれど、その後飛騨でのシーンで、渡辺先輩を訴えようか迷っていたから、と理由が明かされて納得しました。

ところが新証拠の解析が手詰まりになり、1年が経過…となって、一体このあとどうなるんだ!?と予想不可能になったところから、しおりの母の証言を端緒に、雪崩れるように真相が明らかになっていきます。ばっこんばっこん開きまくるブラックボックスぅぅぅ!!!!!!

クライマックスの、大輝と加瀬の会話劇。通話しながらショッピングモールを悠然と歩く加瀬の背景は常に光が溢れて白っぽくぼけていて「真相は、愛で消える。」を表現するかのようでした。塚原監督の光の表現、やっぱり絶品だな…。絶望に打ちのめされる大輝と、人生の絶頂で微笑む梨央の会話も胸が苦しくなりました。松下洸平さん、圧巻でした。こんな顔をする役者さんだったなんて知らなかったよ(あえて#リモラブの録画を見返してみたい今日このごろ

私、絶望しすぎててリアタイではまったくわかってなかったんだけど、録画をちゃんと見返すと、最終回を通して、実はずっと「犯人=加瀬」は示唆され続けていたんですよね。居酒屋のシーンの最後の藤井のセリフもそうですし(梓のニュースにかぶせながらだけど加瀬の存在も暗示されていた)、大輝と桑子が資料を見ながらアリバイを再検証するところ、あのシーンでは名前が指で絶妙に隠されていたけど、この紙は冒頭に名前まで分かる状態で映っていました(覚えちゃあいねぇ)。「(防カメ映像で)推定身長も一致します」という桑子の緊迫したセリフも、序盤から投げかけられていた「背の低い女性が渡辺父の首を締めるのは無理」という問題を否応なく思い出させます。そういえば加瀬さん、背が高いもんねぇぇぇ(号泣)。

こうやってさんざん匂わせてきて、大輝からの着信を受けた加瀬の、手元の携帯から、腕へ、その顔へ、決め打ちのスローモーションが圧巻でした。今作で鬼のようにキメキメで登場しまくったスローモーションですが、このシーンのために繰り返していたんじゃないかっていうくらい説得力がありました。

 

「誰か」が梨央の名入りの赤い手帳を購入しているシーン、店員の「ご配送」というセリフで「アレ?」って思った人もいるかもしれませんが(私はそれどころではなかった)、加瀬はこうやって姿を消すことで、永遠に梨央と優の幸せを守ったのですよね。桑子と山尾の「防カメと足跡痕で指名手配できないんですかね」「できねぇよ」というやり取りも、“加瀬はどこかで無事でいる”と思わせてくれます。真相は、本当に愛で消えるんだ…。

 

加瀬という人物の深淵

ここでブラックボックスの中身を振り返ってみましょうか…(泣きながらもっぺん開ける顔)。

①台風の夜の事件

「法律の物差しで言わんといてください」という悲痛な訴えを聞き入れ、死体遺棄に加担してしまった加瀬。まさかそんなこと…若くして法律家としての物差しを曲げてしまったのだ、のっけからとんでもない話だったわ…。究極の選択すぎるんだけど、これは達雄を演じる光石研さんの修羅場立ち上げ力(なんだそれは)があるから納得させられてしまうんだよね。

ああ一体このシーン、何回繰り返して撮ったんだろう、優は子供だし、梨央は寝てるし、とにかく達雄の慟哭に全てがかかってるシーンだと思います。

 

②芝池公園

東の池からしんでよみがえった渡辺父の壮絶な独りよがりと優への悪意を聞いて、手を下した加瀬さん。あの、言っていいですか。

やってよし。池に沈めろ💢💢💢

渡辺父子のクズっぷりを超ソリッドに表したセリフでした。息子を盲目的に愛する父、として同情を誘うシーンもあったのに(ビラ配りとか)、このセリフはあまりにも決定的でした。優がピンチに陥ったというのもあるけど、加瀬の殺意を起動するには、これくらいはっきり描かないと駄目だったということがわかります。渡辺はなんせ死んじゃったので第1話にしかセリフがなくて「どう思っていたか」わからない部分も多かったのですが、渡辺父がクソofクソな女性観を披瀝したのは、まるでイタコみたいじゃない!?と思いました。池に沈めろ(2回目)

暗がりの中、明確な殺意を宿した加瀬さんの顔がやばかったですね…。①は死体遺棄で③は助けようとしているから、本当の殺意ってこのシーンだけなんだよね…。

 

③しおりの転落

しおりについては後述しますが、梨央と会社を守ろうとして必死で対峙したわけで、全然突き落としたわけじゃなかったんだよね。助けようとしてたもんね…。

でも、通報はしなかった…。流れ出す血でゲラが濡れる前にさっと拾い上げるカットが印象的でした。

 

こうして第1話から振り返ってみると、疑われた梨央を守って大輝とバチバチするところ、いやいや守るどころかやったの貴方じゃないですか、って話なわけですよ。いったいどういうメンタルだったんだ、加瀬さん…。

大輝の悲痛なセリフ「一線越えてまったら、戻ってこられんやろ」に応えた、法律家が言っちゃいけない言葉ランキング1位「法律では守れないことがあるからです」が、本当にすべてでした。とっくに戻ってこられないまま、16年もの時間を過ごしていたんだ。大きな愛で真田家を包み続けた加瀬の、途方も無い深淵を思い知りました。

 

守られた未来

最後までハラハラしていたのが、優がやっと掴んだ幸せが崩れてしまうのではないかということ。8話の「記憶飛んでまった」は、普通にそれだけでした、よかったぁ〜!!(考えすぎましたテヘッ☆)

大学の図書館でクラスメイトと話しているシーンでの、「でも、これからのことは覚えておける」。やはり優は、最後まで未来の象徴でした。それが救いでした。加瀬が命をかけて守った火は消えなかったよ…!(号泣)

というか優、この最後の梨央のモノローグが地続きだとしたら、大学1年の冬=何気に「立帝大」にストレートで受かってない??(もしかしたらさらに1年後とかかもしれないけど*1

辞任してからの梨央は、短い間だけど生き生きとした姿で描写されました。社長職を離れることで仕事の幸福度は上がったのではないかなぁ。「社長になるなんて考えもせんかったわ」という述懐もあったとおり、マジで、ただ単に薬を作りたかっただけなんだよね。

そして梨央と大輝との関係。この二人にも「これからのこと=未来」がちゃんと続いていました。今までごめんねフラグとか言って!!!

お墓参りのシーンは素晴らしいエンディングでした。「簡単やわ、俺は。」って、しみじみといいセリフでした。これがこの脚本の真髄なのではないかとさえ思えるくらいいいセリフでした。後ろ姿での「ちっちゃい手やな」「あったかい手やな」はやっぱり泣いたよね…。

 

シンプルに悲しかったしおりの真実

しおりについても、私、全体的に考えすぎだった節がありますね。

何か理由のある私怨だろうと思い、背景に謎がまだ残っているのじゃないかと考え続けていたのですが、もっと単純に、嫉妬心執着心だったということがわかりました。

それを過激にドライブさせたのは、メンタルの不調だったんですね。なるほどそうきたか。

「私は、必要とされてるって、誰かの役に立ってるって実感がほしいんです」

「記事出すなってことは私に死ねって言ってるのと同じです」

なかなかの飛躍です。ジャーナリズムの話ではとっくになかったんですね。

最後の最後でこういう破綻が描かれて、「メンタルで何でも説明がつく」っていうのも多少乱暴かもしれませんが、筋書きとしてまあまあ納得できました。中盤で後藤専務が詰め寄っていた「産教新聞をやめた理由」も、単に心身の不調ですよね。実はだいぶ前から“壊れて”いたのかもしれません。でも人生の歯車が狂ってしまったのは、やはり性被害にあったから。気づかなかったとはいえ、“助けてくれなかった”梨央が「持てる者」として社会的成功を収めているのも許せなかったんだなぁ…。

非常階段から宙に舞ったゲラは本来、ただのプリントアウトだから、命をかけて拾わなくてもよいはずです。原本は編集長に送ったPCの中にあったし。でも必死で拾おうとしたのは、それがしおりの人生だったから。

ということでシンプルに悲しいキャラクターだった、ということがわかりました。母の証言で「いつもつまらなそうな顔をしていた」とありましたが、遺影のスマイルがせつなかったですね;;

 

不気味ッチーから人間味ッチーへ

専務といえばマオカラー…で最後までいくと思ってたよ…。

不正発覚以降、後藤専務の変化はめまぐるしく、中からいろんなものが出てきてしまったかのようでした。壊すわ、走るわ、パジャマで寝込むわ、流血して死の舞踏をキメて倒れるわ…(※しんでません)

包帯に入院着とか、包帯して腕吊ってノーネクタイでスーツを肩掛けしてスローモーションでもんじゃ屋に登場とか、ほんともう、最終回までご褒美満載でしたね!!!!!

クールビズが一般化して期間も伸びている昨今、ノーネクタイって別に珍しくないかもしれないですけど、あんなに隙のない着こなしをしていた後藤専務だから、このギャップにぐっとくるんですよ!!!!そして兄さん辞任せんと会社の価値死ぬぜ?というグラフを示すのにタブレットスーンとした顔でスパァァンてやるのが好きです(語彙)

最後、梓ママとの面会のシーン。「私も、そちら側に行きます」と語りかける後藤専務は、憑き物が落ちたかのような、やわらかな表情が印象的でした。いろいろな解釈があると思いますが、私は、梓のことは「居場所」の象徴として慕い続けていると受け取りました。恋愛感情とも忠誠心とも違う、でも人間らしいあたたかな感情。放送スタート前は「不気味ッチー」というふれこみでしたが、最後は「人間味ッチー」だったなぁと思うのです。ミッチーさん、複雑で難しい役柄で存分に楽しませてくれてありがとう!ゆくくるでこぼれ話、聞けるといいなぁ。生専務に会えるといいなぁ。

こんな爽やかな頭部外傷患者がいるだろうか👼

 

https://twitter.com/saiai_tbs/status/1473858536119869442?s=20

https://twitter.com/saiai_tbs/status/1473858536119869442?s=20

最後まで関係性を表現し続けた「飲食」

これ、全然くどく表現されてはいなかったけど、1話からずっと一貫していて大好きです。最終話からピックアップしてみます。

  • 居酒屋(大輝・藤井・青木)→遅れてやってきた青木のために座布団をずれたりして、大学生の頃と地続きのカジュアルな関係性が描かれている。
  • 梨央宅(梨央・優・加瀬)→炊飯器からご飯をよそっていて、リアル同じ釜の飯。加瀬は自分でお茶を注いでいるのでお客ではなくやはり家族。
  • 居酒屋(大輝・桑子)→この2人ほんとうにサシが多かった!言わずもがなペアの絆。「割れ割れ割れ!!」とか大好き。
  • もんじゃ屋(梨央・政信+後から後藤)→庶民的なもんじゃを一緒に焼きながら、腹を割って話す兄妹。最終話では真田ファミリーを守る戦友としての間柄がクローズアップされてよかったです!お兄ちゃんのことは9話から好きになったよ。ごめんね罪をなすりつけたいとか言ry(n回目)
  • 捜査本部(桑子・山尾)→短いながら、“証拠がないから指名手配ができない”という重要な事実を示すシーンでしたが、このときマフィン?カップケーキ?を桑子が半分に割って山尾に渡しており、山尾も素直に頬張っています。“刑事課長”になった山尾にカチコミかける直談判するとか桑子の心臓はマジで剛毛フッサフサ間違いなしなのですが、自他の境があいまいで仲間と思った相手とは食べ物もシェアしまくるこの感じ(cfじゃがりこ)、最後まで一貫していたなぁと思いました。そして、大輝が復帰できたことだし、山尾とも仲直りしたんだなぁとこれではっきりわかりました。まあ最後まで、後輩としての立ち位置しか描かれなかったので相関図にある「姉御的存在」ってよくわかんない設定でしたけどね!?

加瀬さんwwwwwちょっとwwwwww

 

 

私、そこまで考察してなかったつもりでしたが、最終回を経て、いろいろと「考えすぎだったな☆」ということがよくわかりました笑。でも本当にそれくらい、一人ひとり、血の通った人間としてストーリーの中に生きていたから、思いを馳せてしまったんだと思っています。心から全員の幸せを祈って観てきたし、今でもリアルに願っています。

 

「最愛」、素晴らしいドラマでした!本当に“夢中”で楽しむことができました。キャストのみなさんと制作陣に心からのスタンディングオベーションを送ります☆そして我らがミッチーさん、本当にお疲れさまでしたぁぁぁぁ!!!!!

 

 

 

*1:受験生として勉強しているシーンの可能性もあったけれど、浪人経験者的に冬の時点でこの明るい雰囲気はぜったい違うなって思いました