素晴らしいカンパニーだったので、大阪で再会できたことが本当に嬉しかったです。誰も彼もが卓抜した歌声をもち、ひとつの有機体のような調和を示し続けたカンパニー。少数精鋭ということもあり、パンフレットにクレジットがあるキャスト全員について、箇条書きで簡単にではありますが、感想を書き残しておきたいと思います。
上白石萌音さん、屋比久知奈さん、井上芳雄さんについては前回書いているので↓、千秋楽の感想に絞って最後にちょっとだけ追記します!
※ミュージカル初心者の、個人の主観です。あと間違いがあったらすみません!
複数の役を演じたみなさん
春野寿美礼(ミセス・リード/レディ・イングラム)
好きなセリフ:「百合のお花ちゃん」「純粋な喜び」
- 威厳に満ちた女性像を演じ分けていらっしゃいました!
- 圧の強いレディ・イングラム大好きです。私、大楽で気づいたのですけど、ロチェスターとブランチがシャンソンを歌ってるシーンでニコラスが運んできたグラスを、2杯同時にとって、さらにもう1杯もらってましたね!?1分くらいでショートカクテルを3杯空けたってこと…!?
- 「インド諸島」の言い間違いも、相対的にブランチの教養レベルを示すためかと思っていたけれど、もしかして:へべれけだったから?(たぶんちがうけど)
- ジプシー女の前フリのくだり、ロバートへの威圧(物理)がすごい。
- そして、ミセス・リード!臨終の演技はいつも胸をかきむしられます。「許さない」と決め、それを貫く人の苦しみ…。ちょっとだけ起こしたベッドで完璧に正面を向けないから難しいはずなのに、メッセージが何一つこぼれ落ちることなく、ぜんぶ伝わってきました。「純粋な喜び」という言葉の悲しさよ…。
仙名彩世(ジェーンの母/ソフィ/ブランチ・イングラム)
好きなセリフ(歌詞):「わが美しき手による翻訳よ」「♪古のお屋敷 おいくらかしら」
- 「♪清らかな朝陽」担当大臣!!!
- 「♪清らかな朝陽が〜」と清らかに歌い出す、これ以上ピッタリのお役目があるでしょうか!透き通りつつ華のある美声をたっぷり堪能しました。ソフィでもブランチでも同じナンバーを聴けるのが粋だわぁ。
- ミセス・フェアファックスが歌いながら身のこなしを褒めているときに優雅にターンしてみせるの、説得力しかない。ドレスを着こなす本物のお嬢様を出現させうる宝塚という土壌についても改めて思いを致したのでした。
- 原作で「ソフィ」とう名の使用人はフランスから来たアデールの乳母でしたが、たしかにソフィはちょいちょいアデールの面倒を見ていました。ジェーンとの初対面のとき、スカートをつまんでお辞儀をさせようとしているところとか。ソフィは使用人の中では知的で控えめなイメージ。
- そして(ロチェスターの「ジェ〜〜ン」を除けば)本編の歌い出しをジェーンの母として担当されたのも仙名さん。中井さんと一緒に歌い上げたあのナンバー、「この作品はこれからず〜っと歌がうまい人達が歌います。」という案内のようでもありました。そのとおりだったわけなのですが。
樹里咲穂(ミス・スキャチャード/ベッシィ/バーサ・メイスン)
好きなセリフ:「顔が映るまでよ!」「気持ちいい日ですね」
- 理解が追いつかないレベルの演じ分け!!!
- 私、初見の段階では、各キャストさんの演じ分けは誰一人としてつかめていなかったのですが、帰ってパンフレットを見て「なんだって??????」となりました。もっかい言うけど「なんだって????」*2
- 好きなセリフを抜き出そうとしたんですけど、ミス・スキャチャードとしての出番が終わると、あんまり話さない役だったのだなぁと気づきました。ベッシィはちょっとは話すけどミセス・フェアファックスに怒られる「受け」の演技が多くて、バーサに至っては言葉はありません。「話し方」の変化なしに演じ分けるって大変だろうなと思いました。
- 非常に難役であろうバーサという役。原作でほとんど「人間」として描かれなかった彼女を、2023年の観客に見せるにあたってはさまざまな工夫がなされていました。原作のバーサはジェーンに悪意をもっていましたが、ミュージカルのバーサは「恍惚の人」というアプローチ。樹里さんの、ダンスをベースにした美しい所作によりそれは成功していたと思います。
折井理子(アボット/グレース・プール)
好きなセリフ(歌詞):「ソーンフィールドへようこそ、ミス・エア」「♪それとも偶然」
- 上述のバーサと切っても切り離せないのがグレース・プール!一癖も二癖もある役柄ですが折井さんはブログでプーちゃんって書いていらしてすごく親近感がわきました!
- 結婚式のあとロチェスターが真相を語って聞かせている間、グレースは拘束椅子の前に座って、バーサの頬や肩をずっと撫で続けているんですよね…。原作ではそのような優しさは決して示されないものでした。
- 初見のとき、火事の後にジェーンに疑われた際のちょっとした対決はすごく迫力がありました(初見&原作未読ゆえ、ほんとうに怖かった)。
- ゲーツヘッドでの使用人役も優しくない方のアボットで(優しいのはアグネス)、結構トーンの低い役柄を担当されていたのですが、「♪清らかな朝陽(リプライズ)」で歌い継ぐところ、「♪それとも偶然」の高音の透明感にギャップを感じました。
水野貴以(アグネス/リア/メアリー・イングラム)
好きなセリフ:「冬の雪は解ける」「すてき!」
- そうですそうです、優しい方がアグネスでした!赤の間に閉じ込めるとき、ショールをかけてやろうとするんだけどアボットが奪い取ってしまうんだよね。原型は、原作のベッシィかなと思っています。ゲーツヘッドにおける(唯一の)親しみ深い存在でしたが本作では省略されて、名前だけ現・ベッシィに移植されたのだと思います。
- コロスの語りで「冬の雪は解ける」と言いながらくるんと回るところがキレイ。
- リアは使用人の中でもちょっといたずらっぽい性格なのかなと思います。明るくて快活で表情豊か。「300年ほど前でしょうか」とかも好き。
- からの〜〜、、
- メアリー・イングラムが好きすぎる件。
- イングラム家における教養レベルでトップに位置するのはおそらく姉のブランチでした。で、メアリーはというと、、「♪受けた教育〜ぜんぶ〜無駄〜〜」の説得力よ。
- ジプシー女にハチャメチャ言われているときの「ハァ~~?」みたいな表情が大好きです。キュートなリアと中の人が同じとは思えないよ!
中井智彦(ジェーンの父/トーマス/シンジュン・リヴァーズ)
好きな歌詞:「♪宣教師の妻として辺境地で生きていこう」
- セント・ジョンの実写化、大優勝。
- ミュージカルへの翻案について、「実写化」という表現は適当ではないかもしれませんが、シンジュン(原作ではセント・ジョン)については、実写化が大成功すぎる、と思いました。
- というのも大阪に向かいながらやっと京都にさしかかるあたりで原作を読み終えたのですが、物語の終盤に強烈な印象を残したセント・ジョンが、2時間あまり後、舞台の上に本当にいる、と思ったからです。たぶん佇まいとか全体的な雰囲気がそう感じさせたと思うのですが。
- ジェーンに結婚を迫るシーン、決意もあらわな高音に、callingに一途に従うシンジュンの信心深さ&ジェーンを配下に置こうとする執念深さを感じました*3。
- シンジュンは、ジェーンが求めた「自由」と対立するパターナリズムを象徴していたと思うのですが(原作ではジェーンが学習性無気力を示すまでになっており、教科書のようなモラハラが展開されていた)、それでも泥濘の中から助け起こしてくれたのはシンジュンその人なのです、弱き者を教え導こうというポリシーが、死にかけたジェーンを救ったのは事実です。恩人!ありがとう!!
- シンジュンの話ばっかりしてしまいましたが前述のジェーンの父も素晴らしかったです。冒頭からいきなり“汗ばんで”死にそう、難易度高い…。
萬谷法英(ブロックルハースト/ロバート)
好きなセリフ:「スキャチャード〜〜!!」
- ロバート大好き!
- 柔和で温かく、さまざまな人に別け隔てなく接する、気働きの人。
- ジプシー女のくだりは完全にグルだったわけですが、ネタバラシ後に小さくガッツポーズしていたのが好きです*4。
- 「♪ほんの小娘」でミセス・フェアファックスが四字熟語&慣用句を並べ立てている間、眉根をよせて「えぇ〜?」みたいなリアクションをして、聞いてられんよ、みたいな感じで袖に引っ込んでいくところ、細かいお芝居が好き。
- 細かいお芝居といえば、ハムレットのくだり、ロチェスターに対して「お芝居です」ってニコニコして伝えてあげてるんですよね。
- だからこそロバートに転生する前はブロックルハースト(ローウッドの院長)だったっていうのが、もうね…!「スキャチャード〜〜!!」ですよ…!
神田恭兵(ジョン・リード/イングラム卿/牧師)
好きな(?)歌詞:「♪こ〜じこ〜じみなしご、家なしっ子〜」
- ジェーンの幼少期の厳しい境遇を煮詰めたような存在。ヤングジェーンに罵詈雑言を浴びせ、頭をつかんで揺さぶるような、登場した瞬間から苛烈な役どころでした*5。演じるほうも難しいと思うのですが、まったく手加減が感じられなかったことこそが大切なのだと感じました。
- 「はい、お母様」のマザコンめいた言い回しでかなり若いことがわかりました(原作によると14歳)。
- そこから、ちょっぴり軽薄そうなイングラム卿を経て祭服をまとう牧師になったときの威厳…!(最初、例によって同じ人がやっているとはわかりませんでした)
江崎里紗(ローズ【スウィング】)
好きなお芝居:黒板に「うそつき」って一発書きするところ
- スウィングのお役目、大変お疲れさまでした…!
- 「うそつき」の黒板を首から下げるところ、歌いながらガッガッガッ!ってチョークで書いてるの本当にすごい。ローウッドの厳しさを視覚的に訴える抜群の効果を上げていました。
- 「♪自由こそ」、ジェーンが高音で歌い上げる「♪女にもあ〜る〜」を真向かいで聞いていたのは江崎さんだったと思いますが、がっつりエンパワメントされる受けのお芝居が素敵でした。
- ローズとして重要だったのはジプシー女のシーンで、ロバートの隣で預かった杖を捧げ持ってハラハラして見守っていたのですが、特筆すべきは、ここにローズがいなければニュートラルな女性の使用人は消失してしまうということです(ソフィはブランチ、リアはメアリーを演っていて、ベッシィやグレースはここで出てくるのは役回りとしてそぐわない)。1人でも「居る」ことが調和のうえではとても大事!
犬飼直紀(ニコラス【スウィング】)
好きなお芝居:冒頭でジェーンに鳥の本をそっと与えるところ
- 同じく、スウィングのお役目、大変お疲れさまでした!!
- カンパニーに“老若男女”の声質が揃っていたことがコロスに深い奥行きを与えていましたが、若々しい犬飼さんの声は、清新さを加える点で特に重要だったように思います。
- お屋敷の若手使用人としてのニコラスも、爽やかな働きぶりで気持ちよかった!
- 「ミルコートの仕立て屋からでございます」の明るい声、純白のドレスを運んでくるのにぴったりのお役目ですよね。
- 年かさのロバートはきっとニコラスの面倒もよく見ていて、力を合わせて仲良く働いているのだろうと思いました(内容は聞こえないけど、2人で話すシーンを見て)
子役のみなさん
3人とも素晴らしかったです!円盤にはちゃんと全員残るから最高…!配信(のちに円盤化発表)の2回だけ特別にヤングジェーンとアデールを2人体制で演じたの、天才の采配では。
岡田悠李(ヤング・ジェーン/アデール)
- 透明感と情感を備えた歌声と、深いお芝居がどこをとってもすばらしかった…!彼女だけ生で観れなかったのが本当に惜しかった…。
- 視線をぎゅっと掴んでしまう存在感。有り体に言ってしまうと、うまい!のです。ハムレットのシーンや来客のシーンでみせるダンスの足取りがとても軽やかで素敵でした。
- 東京千秋楽のカテコで、芳雄さんに呼ばれて膝の上に一目散に座りに行ったのが可愛かったよ…!
萩沢結夢(ヤング・ジェーン/アデール)
- いちばんたくさん会えたヤングジェーン/アデールでした!初見も結夢ちゃんでした。
- 初見、ジョンによる責め苦に観客としてそこそこショックを受けて、演じた本人はどんなことを語っているのかしらとパンフレットを開いたら、人生何周目!?と思いました。つらいお芝居でしたが、がんばりましたね…!
- 結夢ちゃんの魅力は、年相応の溌剌さとこまっしゃくれ感。ヘレンに諭されるシーンではたぶん一番キレてると思う。「違う違う!」の言い方や「死んだほうがまし!」の「し」の滑舌がリアルでした。
三木美怜(ヤング・ジェーン/アデール)
- はじめて美怜ちゃんの回を観たとき、バタバタ入ったのでキャスボをよく見ないままだったのですが。最初のソロナンバー、「♪孤独な家」に差し掛かったとき…あることに気づきました。
- 子ルドの波動を感じる…!
- このあいだまで「エリザベート」で少年ルドルフを演じていた三木治人くんの、妹さんなんですね!
- 親の愛を受けられない孤独という点では「ママ、何処なの?」と一緒で、「うなる〜暖炉〜」のあたりに同じ成分を感じたのでした。
- 1つひとつ置くように言葉を発し、逆境にあっても優美さが失われないヤングジェーン。一方で、死の床であえぐミセスリードからけっしてそらさない、冷え切った目線にもうならされました。
- あと、萌音ジェーンとの組み合わせのとき、このヤングジェーンはたしかに大きくなったら萌音ジェーンになるわ。っていう説得力がありました。
クレジットで「トメ」のおふたり
大澄賢也(リチャード・メイスン)
好きなお芝居&台詞;馬! &「俺は彼女を失ったのだろうか」
- いやメイスンのシーンから選べよって話なんですけど↑ ロチェスターが駆っていた暴れ馬がもう素晴らしくて! ※馬だけだとあんまりだからやっぱり台詞を足しました!「あれにはなるべく穏やかに優しくしてやってくれ」とかも好き。ああそうするよ、君!
- だって、馬役を2人用意して獅子舞みたいに布をかぶって四つ足にする、みたいな無粋なことをしなくても、凍る小径に走り込んできた馬と騎手の迫力が、たった2人だけで成り立つんだなと。
- つまり、ダンスという身体表現の奥深さを教えてもらいました。
- バーサを患者、ロチェスターをキーパーソンとすると、メイスンは「カリフォルニアから来た娘」ならぬ「ジャマイカから来た兄」なわけですが、やっぱりバーサに抱いていた愛情は本物なのですよね。2幕冒頭のセイレーンのリプライズの切なさよ…。
- 最初のカーテンコールのとき。センターで一人挨拶を終えた芳雄さんを、下手オンステージシート下でハグで出迎える姿が尊かったです。インスタで芳雄さん宛に綴られた文章も感動的でした。
春風ひとみ(ミセス・フェアファックス)
好きなセリフ(歌詞):「ベッシィ!台所!!」「前後不覚!」
- 大好き大好き!超大好き!!
- 自然と傍にいたくなる、おだやかな情愛をたたえた人。
- 原作ではジェーンが親しみを感じた人物は複数出てきていたけれど、彼らがバッサリ省略された結果、ミセス・フェアファックスに凝縮されたのだと思います。
- 編み物をしているシーン、手元をオペラグラスで見たら本当に棒針でスイスイと白い毛糸を編んでいらした*6
- 宝石をつけるつけないのくだり、「エドワード・フェアファックス・ロチェスターの」と言いながら「フェアファックス」で自分の胸をドンドン!ってやるの、大楽はすごく手振りが大きくてちょっと面白いほどでした。
- 開場前の影アナウンスも、その深みのあるお声の響きを聞いているだけで、自然と物語に向けて気分が整っていくような効果がありました。
- ラストシーンで嗚咽する芳雄ロチェスターをしっかと抱きとめ、涙を拭ってあげる姿をずっと覚えていたいです。
ジェーン/ヘレン&ロチェスター
前述の通りほとんどこちらに書いているので、追記です。
上白石萌音(ジェーン・エア/ヘレン・バーンズ)
- 東京公演の前楽(配信)でも感じましたが、ジェーン役のとき、トーンを低く抑えるところが以前より低くなり、それによりダイナミクスが大きくなっていました!全体的により(小説の)ジェーンらしくなったというか、舞台姿として引き締まった印象です。
- 大楽、ジェーンとしてあまりにも揺るぎないから、どこか安心した気持ちで、舞台の隅々まで、カンパニーのお芝居を楽しむことができた気がします。
- ヘレン役について1つ。「♪赦し」で萌音ヘレンがヤングジェーンの手を取り、親指で優しくさするお芝居があるのですが、これは原作の描写が取り入れられたものかと思います*7。→「ヘレンはわたしの指を温めるようにやさしくこすり、言葉をつづけた―」*8
屋比久知奈(ジェーン・エア/ヘレン・バーンズ)
- もっと見たかったよ屋比久ジェーン…!!「♪描く肖像」「♪荒野」での深い絶望、本当に忘れられないよ…。
- その分たくさん観られたヘレン。やはりどんどん深まっていました。大楽の「♪赦し」と「♪神の御許へ」、何度も見ているのに、だばだば泣きました。宗教的な響きのある曲調に、屋比久さんの声はとてもよく合っているのだと思います。*9
井上芳雄(エドワード・フェアファックス・ロチェスター)
- 私けっきょく、芳雄さんを好きになったのかジェーン・エアにハマりすぎたのかロチェスターという人物に沼ったのか、よくわかりませぬ。受け取ったものが大きすぎて、感動や尊敬みたいなものがまじりすぎて(そこにカッコイイ!!!とかアシガナガイ!!!とかも入ってくる)、もはや混沌そのもの。
- *10
- 火事の後のお芝居は回によって変化がありましたが、大楽では右膝だけベッドについて突っ伏して激しく嗚咽→仰向けになってからは片膝だけ立てて焼け落ちたベッドのカーテンをせつなそうに少しいじって、目に涙をためたまま歌い始めました。
- セイレーン後半の「自由なのに不自由!」が大楽ではひときわ激しかった。その後も「ああジェーン」とかで感情をほとばしらせるような歌い方。あとジプシー女では「地位も!財産も!」って強調をしていたな…(大阪ではずっとやっていたのかな?)
- 「諦めずに待ち続けた 信じるから君を」という歌詞。芳雄さんは本当に号泣しているのですが、ふと、「信じる」という希望は髪の毛一本ほどの細い光でしかなくて、実際は深い絶望のさなかにいたのだろうなと思いました。ジェーンを失ってからの「時間」が、その身体にずっしりと重ねられていたからです。
- レポで拝見していましたが最後は赤ちゃんのおでことジェーンのおでこにキスをするように変化していたんですね。ひゃあ!
- 大阪限定のかすかな無精髭で雄々しさアップ、体の大きさによく合っていました。
- 歌とセリフをシームレスに往来し、そこにはよどむことなく同じ水が流れている。音程だけでなくリズムも掌握することの凄みを今更感じるなどしました。
- 怒涛のカテコ×6。カンパニーの真ん中で揺るぎない存在を示した芳雄さん。美怜ちゃんを抱っこして袖から現れたり、背景の石段にみんなで集まってお辞儀をする音頭をとったり。
- ついに6回目となり、曰く「何か喋るまで帰さへんで!という大阪のお客さんの熱気」に押されてついに口を開いた芳雄さん。「ジェーン役の2人が喋ります!」と挨拶を促して、ニコイチであわあわお話しする2人(かわいすぎ)を「新人さんの挨拶みたいだけど大丈夫?」といじったり、賢也さんに無茶振りしたり笑、みんなをまとめ続ける(?)姿が印象的でした。賢也さんのインスタの表現をちょっぴりお借りするならまさにソーンフィールドの大黒柱だと思いました。
だってみんな本当に生きていたから
とにかく全員が全員、血の通った人間としてその時間を生きていたし、背景や性格にまで自然と想像が及んだのです。だからここまで書くことがありました。これがジョンマジックというやつなのでしょうかね?
ジョン・ケアード作品、私にとってはこれが初でしたが、とんでもない味を覚えてしまいました。どうすんのコレ。
大楽のカーテンコールは、オケのみなさんも含めて大きなひとつの家族という感じでした。とてもすてきなカンパニーでした。
トリプルの子役含めて18人での全36公演完走、本当におめでとうございます&おつかれさまでした!
円盤の予約も完了、あとは「何であのとき『ジェーン』って声が聞こえたの?」という大真面目な考察を書き上げて私のジェーンエア、今度こそ終わりです。
*1:前言撤回しました。有休もぎ取りました
*2:先日グリブラの再放送を録画し(※最近WOWOWに再加入した)、稽古場訪問を見たのですが樹里さんの役どころは「ミス・スキャチャード/ベッシィ/その他」になっていて、ネタバレ配慮がナイスでした。
*3:原作のラストは切ない余韻が残ります
*4:少なくとも大楽では
*5:本当に過酷なシーンなので、子役ちゃん×3には適切な精神的ケアがなされていると信じております…!
*6:そりゃお芝居として必要だからするでしょうけれど、私は編み物できないからすごいなと思って
*7:これは屋比久ヘレンはやっていないお芝居でした
*8:シャーロット・ブロンテ著,大久保康雄訳「ジェーン・エア」上巻(新潮文庫)P144
*9:ヤングジェーンが訪れる前、初見のときより具合が悪そうだった
*10:芳雄さんのことを書こうとすると文章が急に下手になるのがガチめの悩みです。いや恋煩い的なフリじゃなくて、本当にうまく書けないんです。私はいったいどうしたら…。