完全に猫なのさ

とあるスターと、いろんなエンタメについて書くブログ I'm here for you.

「井上芳雄 by MYSELF × Greenville Concert 2024」セットリスト&レポ〜そして海風になる(2024年4月24日・東京ガーデンシアター)

f:id:purplekuina246:20240425032058j:image

その3時間(※公称2時間半)、私はアリーナ後方席で、センターで歌う井上芳雄その人ではなく、コンサートそのものに夢中になって過ごしました。

終演後は、興奮冷めやらぬという感じではなく、例えば有機野菜をたっぷり使って心を込めて作られたコース料理をゆっくりと堪能したような、経験したことのない充足感を胸に、霧雨の中を駅まで歩きました。

半年間楽しみにしていたコンサート(2日目のみ参加)の感想を置いておきます。

 

※個人の主観/感想です。

※MC内容、あえてほとんど割愛しています。

※セトリ含め、間違いがあるかもしれませんがご容赦ください。

 

 

 

セットリスト

※パート分けは便宜的なものです。括弧書きはミュージカルなどの出典を示しており、それ以外はオリジナルアルバム『Grennville』の楽曲です。

前半

ゲストコーナー

エリザベート泣かないで→愛と死の輪舞→闇が広がる→私が踊る時→私だけに[三重唱])

後半

EC

 

レポ&感想

Prelude

幕開けはアルバム冒頭に収められた「Prelude」。劇場とはまた違う東京ガーデンシアターのダイナミックな音響にのせて、芳雄さんの声がどこまでも伸びていきます。

オープニング映像から背景の映像にワクワクさせられっぱなしだったのですが、この曲の間は、自由に伸びてゆく線のイメージと、やわらかく花開く草花のイメージが絡み合う映像が流れました。有機的なものと幾何学的なものが組み合わさった感じだなぁ、と思ったのですが、このイメージは本編を通してずっとリンクしていて、唯一無二の世界観に観客を誘い続けてくれました。

MCではこのコンサートが「公称2時間半」であるとしつつも、前日の公演は「田代万里生ががんばってくれて」めちゃくちゃ伸びたという話を紹介(田代万里生さん、浦井健治さんゲスト回)。「あぁ井上くんのコンサートは押すのね、という空気になった」らしいけれど、私もレポを読んでそう思ってました、すみません笑。目指しているのは「アーティスト然とした大人のコンサート」とのこと。

舞台の奥にはバンドというかオケのみなさんがぎっしりいるのがわかり、多すぎるからか個々人は紹介されませんでしたが「グリーンバンド」というネーミングがわかりました!そして豪華なW音楽監督コトリンゴさん、大貫祐一郎さんは、お二人とも「がんばります!」とシンプルに意気込みを表明。大貫さんのときには「がんばります!」「だろうね!!」というあうんの呼吸が楽しめました。大貫さんは有明のホテルに泊まってサウナで整ったらしくトークも絶好調でした(「整った私を照らしてください!」と照明さんにリクエスト)。

 

よろしく絶望/私を燃やす愛+天使も悪魔も/最後のダンス/El Tango De Roxanne

ここからは、「Greenville」の各曲制作時に掲げたコンセプトに、おもに2023年に出演したミュージカルのナンバーを組み合わせて交互に演奏するという試みが始まります。別途、X(Twitter)でも書いたのですけど、どちらについても丁寧に説明してくれて、誰も置いていかないという姿勢にとても感銘を受けました。そしてミュージカルナンバーに関しては、演じた芳雄さんの言葉で解説されることで、上演時よりさらに曲への理解が深まるという思いがけない喜びもありました。たとえば「よろしく絶望」については、“絶望と会話する”ルートヴィヒについて、「この人強いな」と思っていることなど。ご本人は「コンサートの2曲目にやる曲じゃない」と冗談めかしていましたが、私は1月にベートーヴェンの大楽の配信リピを終えてからけっこうガチめのロスに陥っていたので、芳雄ルートヴィヒに再会できて感無量でした。どうかどうか再演をお願いします!!

続いては、“悪魔”と“死神”をリンクさせて「天使も悪魔も」の冒頭に「私を燃やす愛」をくっつけて、そこから「最後のダンス」へ。「天使も悪魔も」の、壊れかけたパートナーシップに再び希望を見出す表情から、一瞬で悪辣なトート閣下に変貌するのがたまりませんでした。エレキギターが唸り、ジャジーなピアノが冴えるアレンジも最高。ちなみにステージには立派なコンサートピアノが2台、上手・下手に配置されていて、コトリンゴさんは下手、大貫さんは上手が定位置だったのですが、この曲ではコトリンゴさんが演奏されていて、大貫さんは膝でリズムを取っていたのが印象的でした。

El Tango De Roxanneは真っ赤に染まる背景のLEDが圧巻で、特に後半、燃えたぎる炎花びらを濡らす水滴という相反する要素がぶつかりあうのが、愛しているがゆえに憎しみが止まらないクリスチャンの激情にハマっていて震えました。エンディングで、赤い光を背負った芳雄クリスチャンのどす黒いシルエットが浮かぶのも秀逸すぎます。

 

タイムテーブル

ロクサーヌにリンクして、制作時のテーマが「使われる」であった「タイムテーブル」が登場。ご本人もロクサーヌとタイムテーブルの世界が違いすぎて」と話していましたが、キーワードひとつを拠り所にガラッと違う雰囲気が楽しめるのもまた素敵です。ポップでカラフルな映像をバックに、さっきまで闇を宿していた瞳が再びキラキラと輝きます。サビ終わりの「♪すべてが愛しい」などのフレーズが小気味よいスタッカートで歌われたのにグッときたのですが、「どうですか!?」と感想を求めらられたコトリンゴさんが「可愛かった!」と称えていて、なるほどでした。リハで「もっと可愛くお願いします!」というリクエストを受けていたのだそうです。

「使われる」というテーマは「捧げる」というポジティブな言葉に再解釈され、「その人に集中しよう」「その人のためにしてあげたい」という表現で説明されたのが印象的でした。いやわたし現在進行系で自分勝手に生きてるなぁと、ちょっとだけ内省するなどしました…笑。

 

Chandelier/Lost In The Night

「Lost In The Night」の「さらされる」をテーマにリンクさせた2曲ですが、“夜”のナンバーであることもポイントだなと思いました。ここでムーラン・ルージュに関するトークがあったのですが(おもに衣装の話)、ちょっとここでは割愛しまして特筆したいことを挙げておくと、昨年のミュージカルイヤーについて「年に5本出たことある人!ほとんどいないと思うけど手を上げて〜」という見込みがなさすぎる挙手をさせたことと、それについて「ありがたいことに1日も休まずに舞台に立ててと述懐していたことでした。さらっと言ったけどやっぱりめちゃくちゃすごいことじゃない???

権利関係にとにかくこちらもドキドキするMRですが、「Chandelier」では実際のセットを模した映像が流れたのに度肝を抜かれました(ロートレックのアトリエから見える景色)。それはオッケーなのね!!そこに緑の光がどんどんまぶされてゆき、喉をちょっと開いて伸ばしたような太い声で英語詞を歌い上げる芳雄さん。今にも妖艶なサティーンの幻影が現れそうで、再演の初日が待ち切れない気持ちになりました。

昨年「Lost In The Night」がラジオで解禁された頃、私は中華料理屋で昼休みをとりながらラジコのタイムフリーで聴いた記憶があるのですが、レンゲを運ぶ手が止まったんですよね。それくらい大好きで、都会的な曲調に力の抜けたウィスパーボイスがなんともおしゃれな楽曲ですが、コンサートではコトリンゴさんがキーボードを奏で、芳雄さんもアッパーな歌唱で魅了してくれました。背景にはポリゴンメッシュをモチーフにしたニューレトロな映像が展開されて、それも超ぴったり。アウトロのフェイクもかっこよかったです。

 

田園/初めて知る想い

ここからはゲストコーナー!!最初に登場したのは石丸幹二さん。上手袖から出てこられて最初に「KANJI ISHIMARU」の文字とともにモニターに抜かれたとき、そのオーラに圧倒されました。昨秋、「ラグタイム」をたくさん観て贅沢な時間を過ごせましたけど、あのときは「ターテ」だったので、やっぱり何か違います。襟元が金の刺繍で飾られた黒のシャツ、黒のジャケットでドレスアップした石丸さん、大変にかっこよかったです。

トークでは芳雄さんが石丸さんに懐き倒しているのが伝わってきて、初共演を通じて感銘を受けたという「稽古場での居かた」について「みんなのお母さんみたいな」と表現。「いつでもにこやかで、みんなを不安にさせない」と評していました。めちゃくちゃキュンとしたのは、現在「仮面ライダーガーチャット」に出演している石丸さんについて、芳雄さんが紹介してくれた次男くんのエピソード。「毎週日曜、『パパー!石丸さん出てる!』って教えてくれるんですよ」こんなん萌え転がってゴロンゴロンしてレインボーブリッジを渡ってしまうわ。

2人で披露してくれた「田園」は疾走感と幸福感にあふれていて、何より楽しそうなのがたまらなかったです。芳雄さんは誰と歌っても素敵だけれど、尊敬する先輩と声を合わせる深い喜びを感じました。

そして次に登場されたのが明日海りおさん!シンプルな黒ワンピをお召しでしたが、袖の切れ込みやほんのりフィッシュテールな裾、そして標準より2倍くらい絞ったんじゃないかというウエストのベルトなど、ディティールがとっても素敵で、それが抜群のスタイルにフィットしていてお似合いでした。私、実は明日海りおさんを初めて生で拝見したんですけど…この日を楽しみにしてたんですけど…、まぁメロメロになりましたよね。芳雄さんから「王様と私」の公演期間であることを気遣われて「最高に元気ですっ!(キリッ)」と返したり、タフですよねと褒められて「タフです!><」と認めたり、一挙手一投足に目が離せなくて、えっもう何?何このフワフワ可愛いフェアリーさんは…!?好きになっちゃいますが!!??

このコンサートの演出は小林香さんが担当されていますが、そのことについて芳雄さんが「さゆみちゃんのコンサート(※昨秋に開催)がすごく素敵で、僕もこんなコンサートやりたいなというのがきっかけ」と明かしていました。

明日海さんは、芳雄さんとの共演について「みんなが安心できる」「舞台で発せられる“高まり”に触れられる」と表現されていて、それは芳雄さんからみた石丸さんみたいだなぁ、と思いました。そんな2人による「初めて知る思い」は、ガラッと“口説きモード”になった芳雄スカイの声と、絹のようにやわらかな明日海サラの高音にうっとり。(私は観ていないけれど)前日のまりまりとの間で開催されたサラ総選挙については芳雄さんが「優勝です!!」と力強く判定を下しました。

 

エリザベートメドレー

そしてこの日の白眉と言ってもよいのがこのエリザベートメドレー。明日海さんの宝塚受験の秘話も語られたのですが(他の方のレポでご覧ください!)、全員トート経験者というもの凄いメンツ。チェロとサックスのイントロから芳雄トートによるエリザベート泣かないで」が歌われ、そこから石丸さんとのWトートで「愛と死の輪舞」へ。2人で並ぶとトート役へのアプローチの違いがくきやかで、石丸トートめっちゃ執着強いやん??と新鮮な驚きを受けました。何より衝撃だったのはこの直後の「闇が広がる」で、芳雄さんが瞬時にルドルフに切り替わったこと。その高音パートの歌い方は、単に“若い役”としてではなく、追い詰められて余裕を失った皇太子のそれでした。

いったんはけていた明日海さんが上手から現れ、石丸トートとの「私が踊る時」へ。嬉しかったのは、カットされがちな後半の「♪飛ぶがいい」から始まったことです。相変わらずねっとりと執着を示す石丸トートに、泰然とほほえみ返す明日海シシィがたまりません。メドレーとわかっているのに思わず拍手がわきおこり、最後は期待したとおり1幕ラストの「私だけに(三重唱)」出たぁぁぁぁ芳雄フランツ!!!!私は昨秋の日比谷のミュー島田歌穂さんとの「夜のボート」を聴いたとき、パートナーシップ構築の失敗を悔やみ続ける老いた為政者解像度の高さに縮み上がったのですが、今回も、三重唱のピークでの芳雄フランツの「♪エーリーザべーーーーート」、ただそれだけにノックアウトされました。そして明日海シシィによるラストの「♪私に〜〜〜〜〜」の美しいこと…!もうたまらない、我慢できない、口にしちゃってもいいですか、シシィ期待してもいいですか!!!???

万雷の拍手は、MCが始まってもなかなか鳴り止みませんでした。トート経験者が3人揃ったという奇跡はもちろんですが、やはり作品の力(そして大貫さんのアレンジの力!)を思わずにはいられませんでした。

 

無題の詩/ジプシー

「えぐられる」をテーマに生み出された「無題の詩」。オーガニックな演出と演奏にのせ、イントロの後は音源より軽やかにテンポアップして演奏されました。その後に度肝を抜かれたのが、「ジェーン・エア」からの「ジプシー」。一瞬、何の曲だっけ!?となったくらい意外な選曲だったのですが、その名の通りジプシーのおばあさんを表現するフォークロアな曲調が「無題の詩」の続きとしてぴったりくる不思議…。この曲はイングラム家のお嬢様たちをこき下ろす歌詞が大好きなのですが(一番好きなのは「♪受けた教育〜全部〜無駄〜」です。笑)、本編を思い出しながらハッとしました。おばあさんに化けた芳雄ロチェスターはショールを目深に被って腰をかがめており、その表情は今まで一度も見たことがなかったのだと。ジェーンを引き留めようとする3番の歌詞「♪出ていくのはひどい間違い」を、切なげな眼差しで歌い上げる芳雄さん。改めて、ロチェスターお前…という巨大感情を胸の中で密かに暴発させていました。

 

Diary

これはアルバムで私が一番好きな曲です…!

「こんな大きいところでやるの最後かもしれないけど、悔いのないように!」という言葉に、このコンサートにかける思いが伝わてってきます。いや新年度のド平日に7000人×2Daysを埋めてるんですよ、またやってくださいよ…!グッズ売り切れにも触れてくれて(※再販的な措置を検討してくれそうな雰囲気)、大人気だった「芳雄の一味」が手に入っていなくても「今日ここに来てくれてる、いや僕に興味がある人は“芳雄一味”」と認定してくれて嬉しかったです(←買えなかった人)

この曲は堂島孝平さんが提供されていますが、サビの特徴的な歌い出し「胸内(きょうない)」という言葉の説明が心に残りました*1

 

ライフ/運命はこの手で/Make Them Hear You/記憶の庭

ミュージカルのビッグナンバーを織り交ぜて4曲の畳み掛け。「ライフ」コトリンゴさんのリッチで多彩な音作りが冴えて、後半のポイントとなるハンドクラップもコーラスのみなさんが担ってくれました。「運命はこの手で」のアレンジはコンサートを通じて一番びっくりしたかもしれません。フロアタムでしょうか*2、緊張感あふれる太鼓のリズムが牽引し続け、そこにストリングスがミニマルにのっかり、何より6/8拍子になっていました…!(←すみません間違えました。たぶん原曲は4拍子を三連符でとっていて、今回も6/8拍子じゃなくて同じはず。でもパーカッションによるリズムが強く際立つアレンジだったので、そう感じてしまったのかなと。)後から明かされたところによると、この曲のアレンジは大貫さんとスイッチしてコトリンゴさんが担当されたとのこと、なるほどすぎる!!

上手からの美しい照明を浴びながらの「Make Them Hear You」。2台のグランドピアノによる分厚くエモーショナルな伴奏が素晴らしく、上演時はコンサートマーチ風に重要な役割を果たしていたスネアドラムが(たぶん)使われていなかったのもポイントでした。うわぁぁぁんラグタイム観たいよぉぉぉ*3

最後は、コトリンゴさんのピアノのそばのスツールに腰掛けて、「記憶の庭」へ。8mmビデオ風のノスタルジックな映像を添えた温かい歌唱で、アウトロのフェイクがひときわ優しい響きでした。

 

The Only/シャイニングスター

コトリンゴさんにひとしきり絡んで、いよいよ終盤へ。「The Only」は“いい意味でほぼ原曲通り”の美しい演奏を堪能しました。だって音源に使われている楽器がほとんどぜんぶ板の上に乗っているんだもの!

「比べられる」というこれまた苦しいテーマから生まれた曲だけれど、語りかけるような歌声は、まるで慈雨のようでした。

シンプルな星空の映像のもとで歌われた「シャイニングスター」では、客席のペンライトがステージと呼応するように輝いていました。演奏は2台のピアノのみ。終盤に大貫さんが披露した高速パッセージが星屑のようにきらめいて、はかない余韻を残しました。

 

あなたに贈る海風

この曲のテーマは「召される」*4。大切な人との別れについての大切な思いを、ゆっくりと私たちに語ってくれました。(たとえば大きな会場でコンサートをやるとか)何かを成し遂げることも大事だけど、途中であったとしても、“何を成し遂げようとしたか”が大事なんだ」というようなことを伝えてくれて、その言葉を反芻しながら聴くこの曲は、やっぱり涙を誘いました。少しだけ目に涙を溜めて、微笑みながら、ちょっと高いところを見上げて歌う芳雄さん。終盤の歌詞「♪今の私から」を聴いたとき、ああ、それが生きているということなんだ…という思いが胸に去来しました。

 

EC:雨が止んだら/ぼくは人工衛星

廣瀬友祐さんデザインの白Tシャツに着替えて再登場!昨年の「日比谷音楽祭」のために桜井和寿さんが提供された、希望のこもった名曲です。コロナ禍の苦境を乗り越えたことについて「そんななか劇場に来てくださって、感謝しかないんですけど」と、さりげなく一言添えてくれたことが、信じられないくらい深く染み入りました*5。「♪こんなにも」の歌詞にあわせて、芳雄グリーンに輝く客席を手で指し示してくれて、アウトロでは「日比谷のミュー」でのステージングを思わせる、軽やかなターンを2、3回。下手に歩いていって大貫さんのピアノに親しげに手をかけるのも素敵でした。

そしてお待ちかね、「ぼくは人工衛星!!! 前日の情報で撮影OKと知っていたので、それも含めて楽しみにしていました。実際にカメラを起動してみるとアリーナ後方からは全然難しかったのですけど、撮影しつつもスタンディングでペンライトも振って、自分なりに楽しむことができました。(撮影OKなんて)あの昭和の男が!ってびっくりしたんじゃないか」と言っていましたが、この大英断は大正解だと思います…!一人ひとりがこの思い出をシェアすることは、絶対に次に繋がると思うので*6

愉快そうに「うまく撮れた〜?」との一声を残して、手を振りながら下手袖にはけてゆきました。

f:id:purplekuina246:20240425034156j:image

 

 

MCの面白かったやり取りなどはほとんど割愛してしまいましたが、駆け足で全体について書きました。改めて私は、このコンサートが届けてくれた音楽と彩りに心を奪われたのだと思います。私は本当はダンスを見るのが好きなのですが、今回は想像力をかきたてるKENNYさんの映像やW音楽監督が手掛けるゴージャスな演奏があったので、ダンサーなしで正解だったと感じます。

『Greenville』の1曲目と最後の曲の位置だけを固定して入れ替え、そこにミュージカルナンバーの数々を混ぜて、こんなに見事に編み上げることができるのだということにも感動しています*7。思春期の辛い思い出がベースになった『Greenville』の曲と、愛と別れを描くミュージカル…通底しているのは「苦しいこともあるけど、光を見つけて生きていこう」というメッセージなのかもしれません。

 

なんだかすっかり浄化されて、海風に溶けてしまいそうな気持ちで有明を後にしました。どう考えても特別すぎたコンサートですが、またぜひこんな日がくることを心待ちにしたいと思います。

 

 

*1:私も初聴きでびっくりしたのですけど、これは「きょーないのーまいだいありー」という韻律(o-aiという母音の連なり)を優先したレトリックだと個人的には解釈しています

*2:全然見えなくて、あとパーカッションに疎くて種類に自信がないです

*3:私にはラグタイムの再演を見たいという夢とラグタイムのコンサート版を見たいという夢が両方あります。今回のアレンジがあまりにもすばらしく、後者の夢が膨らんでしまいました…

*4:クリスチャンである芳雄さんが選び取ったこの言葉についても改めて感じ入っています

*5:言ってほしいと思ってはいけないけど、でもこの言葉を少しでももらえると、全然違う。本当に嬉しい。これにまつわる感情を書き起こすと+1万字かかる

*6:SNSマーケティングの重要性を仕事で最近痛感しているところです…。

*7:そして登場したミュージカルのほとんどが、怒涛のミュージカルイヤー・2023年のものだったことも嬉しかった。2023年の初頭にエリザで沼落ちし、ミュージカル初心者がわけもわからず必死で並走してきたことに、身に余るご褒美をもらったような気持ちです