完全に猫なのさ

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ボストン・ポップス on Tour 2023レポ〜「君はともだち」と思えた夜(10月10日サントリーホール・ゲストヴォーカル:井上芳雄)

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心から楽しみにしていたボストン・ポップス・コンサートに行ってきました!

憧れのサントリーホールで大好きな曲が聴ける!しかもそれを叶えてくれるのが井上芳雄さん。夢のようです。

そんなわけで粗々ですが感想を書き残しておきたいと思います。

 

※書いている人→ミュージカル経験値低め、ファン歴1年未満、演奏経験チョットアリマス🎹🎷

 

 

プログラム

*出典:公式ホームページ&配布プログラム

*🎤マークは井上芳雄さん歌唱曲

公式には表記がありませんが便宜上、第1部、第2部と表記します

 

第1部

 

第2部

 

レポ(抜粋)

開演まで

出演情報を聞いてまず飛びついたのが、歌唱曲の1つ「雨に唄えば」でした。私はもうほとんど雨に唄えば芸人なんじゃないかなって思っているんですけど、本当に大好きな映画で、ミュージカル(来日公演)も昨年観に行くことができて、それが芳雄さんの歌で聴けるのなら万難を排して駆けつけなければ、と思ったのです。

そして予め明らかになっていたプログラム。あえて部活を引き合いに出しますが、これはあれです、吹奏楽部の定演の第二部のドリームチームです。演奏したことや聴いたことがある人気曲がてんこ盛りで、これを一流のオーケストラで聴けるなんて!というのも楽しみなポイントでした。

連休明けというのにそそくさと17時半退社を決め、初めてのサントリーホールへ。いつまでもおのぼりさんが抜けない私ですが、今回も着席してきらびやかな視界にびっくりです、テレビか???(2階)。オケのメンバーがもうそこにいて音出しを初めています。女性もけっこういますね。大編成にうれしくなってつい数えてしまう…コントラバス6台!チェロ8挺!!ヴァイオリンとヴィオラすごくいっぱい!!!!!

コンマスの女性が立ち上がりチューニング開始。そしていよいよ、マエストロ・キース・ロックハートの登場です👏

 

第1部〜「自慢の息子」の面目躍如

*以下、発言内容の紹介は意訳、特に英語部分はニュアンスです。

正装の似合う男・井上芳雄

「ハリウッド万歳」サウンド・オブ・ミュージック』序曲を華やかに披露して、マエストロが日本語の挨拶を披露しました。

「我々は20年ぶりに日本に戻って演奏できるのを楽しみにしていました」

その後は英語で、すごくアバウトな意訳ですけれどこんな感じで。

「すごく歴史のあるオケです!映画やミュージカルのいろんな名曲をシェアするよ!歌いたくなったらどうぞ歌っちゃってください😉(=Please do)

再び日本語での「有名な俳優で歌手でもある井上芳雄さんを拍手でお迎えください」という紹介*1に促され、待ってました!とばかりに手を叩く我々。

下手からハンドマイクを片手に現れた芳雄さんは、深いワインレッドのタキシードに黒の蝶ネクタイとベスト、細身のパンツ姿。ブラックタイというのかな、シックな正装がとてもお似合いでした。コールハウス役の短髪をラフにアレンジしたヘアスタイルもおしゃれで、なんかこう、オケを背負って立っているだけでカッコよさが振り切れてます(※まだ歌ってない)(※まだ喋ってない)

 

光も差し込む「雨に唄えば

エストロと笑顔で挨拶を交わし、すぐに1曲目の雨に唄えばへ…!微笑んでゆったりとスウィングしながら英語で歌う芳雄さん。この柔らかくバウンスするようなスウィングの雰囲気が、指揮を振るマエストロとなんだか似ていて、アイコンタクトの感じもそうですが、もしかして波長が近い人どうしのかなという第一印象をもちました(ものすごく雑なのを承知で言うとお二人とも陽キャなのではと思った)

映画の中のジーン・ケリーやミュージカルでのアダム・クーパーと比べると、多幸感あふれる芳雄さんの「雨に唄えば」は、分厚い雲や土砂降りの影は感じさせず、雨とともに明るい光も差し込んでいるような天気模様。そこへ指揮台の奥から現れた真っ赤な傘。受け取った芳雄さんは楽しげに傘を開いて(ジャンプ傘でよかった笑)、なんなら指揮台に足をかけてデュエットに誘います。サントリーホールには背後にも席があるのですが、傘を差したら芳雄さんが見えないだろうなと思いきや、くるりとターンして後方にもアピールするので流石です。

曲の終わりは、原作では水たまりを蹴り散らかして大暴れしてたジーン・ケリーがポリスメンに見咎められて口笛を吹いてごまかすシーン😗なのですが、それをマエストロと2人で目を見合わせて再現していたのが心憎かったです。聴きたかった曲が聴けて本当に嬉しい…!最後のスキャットまでたっぷり堪能しました。

 

エストロのひとこと・その1「Sing alongください」

「星よ」では、日本語での歌唱(以降、最後の曲以外は日本語)。言葉がまっすぐ入ってきて、あっ、ミュージカルの芳雄さんだなって思う時間でした*2。拍手に送られて芳雄さんはいったん退出。

吹奏楽でもおなじみの「マンボ」を経て(マンボ!って一緒に言いたくなる)、マエストロ・キースがくるりと振り返って言うことには「Sing alongください。」…でも始まったのはボヘミアン・ラプソディなのですよ。これ難易度高くないですか?ごめんマエストロ、私、ママーしか分からんから事故ってしまう…と心の中でフランクに謝って聴くのに集中しました。笑(でも少し歌声も聞こえてきましたね!)

 

エストロのひとこと・その2「ディズニー。」

再び振り返ったマエストロ、マイクを握って一言、「ディズニー。」

日本語?アレ?日本語じゃないけどカタカナで言ってくれた?なんか、伝えようという気持ちが嬉しかったです。そんなわけで美女と野獣です。美しい旋律、とりわけ繊細なヴァイオリンにうっとりして涙が出ます*3。そうそう、マエストロ・キースは指揮棒を使わないのですね!両手で布を広げるような振りも印象的です。その布はきっとカラフルで美しいんだろうなと思ったり。

 

芳雄さんのひとこと「ちょっと喋ります。」

再登場し「ちょっと喋ります。」と前置きする芳雄さん、ちょっと…じゃないことをなんとなく察している客席。アットホーム感がすごい。

「あんなかっこいい『ディズニー』って聞いたことないですよね。」

ボヘミアンラプソディ…みなさん歌えました?歌ってくださいって言われてなかなかいきなり歌える歌でもないと思いますけど、日本だと中川晃教くんくらいじゃないかと…(キースの方を向いて )イッツジャパニーズジョーク」

と、マエストロの言葉にからめて短く軽快に笑いを取り、次の曲の紹介へ。

「僕も大好きな曲で、歌う前にいつも言うんですけど、この曲は、今はそうじゃないんだけど、いつの日か(あなたの)自慢の息子になりたいって歌なんです」

「でも僕は元々ほぼほぼ自慢の息子💪

 

みなさん見てください、説得力が蝶ネクタイつけて喋ってます!

 

「今日は両親も来てくれてますので、もっと自慢の息子になりたいと思います!!」

 

そうして始まった「自慢の息子」…深さと透明感をあわせもつ歌声で空気を一変させ、至福の世界に誘います。とても愛情を感じる歌でした。こんな超ド級の親孝行、この世にあるかいな…。

次の曲「君はともだち」では一転、語りかけるように、力の抜けた洒脱な歌い方で。タイトルどおりフレンドリーなムードを広げます。「ともだち」の歌詞に合わせてオーケストラのメンバーを見渡す姿が心に残りました。

 

第2部〜ジョン・ウィリアムズの魔法

新作ミュージカルのオーディション!?

オペラ座の怪人の後に再び日本語で呼び込まれた芳雄さん。「このオケでオペラ座の怪人を)全幕聴きたくなりましたよね!?」には完全同意です。「憧れのオーケストラだったので呼んでいただけて嬉しい」というようなことを年越しコンサートを聴きに行った思い出を交えて語り、オケを振り返りながら「みなさんと顔を合わせたのが今朝で、アメリカのスタッフの方がずらーっと(客席に)いて…新作ミュージカルのオーディションかなって」、ここで爆沸きする客席。芳雄さんはマエストロにもちゃんと、なんでお客さんがウケているのか「Talking about this morning」と一言添えていて抜かりなかったです。そして感激を伝える一言も。「ミュージカルをやっている人間として、オーケストラでポップスを演奏することの真髄に触れさせていたたき、すごく興奮しています」

 

多彩な歌声〜翳りと祈り

「初めて歌うんですけど」と紹介されたサンセット大通り。私は初めて聴いたのですが、変拍子の複雑な曲調に驚かされました。そして、ここで急に我に返る私。このお方は、あのスケジュールで一体いつ譜面をさらって歌い込んだのだろう…??

陰りと迫力のある歌唱を終えると、フルートによるおなじみのイントロを合図にスッと表情を変えて「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」へ。遠くどこまでも伸びてゆくビブラートは祈りそのもの。映画のストーリーに重ねあわせて、ただただ聴き惚れるひとときでした。マエストロと熱い握手を交わしたあと、芳雄さんはここでステージを後にします。

 

十八番ってこういうこと

さて、オーケストラの演奏について、私が一番感銘を受けたのは終盤です。2曲続けて演奏されたジョン・ウィリアムズの名曲ハリー・ポッターと賢者の石(ヘドウィグのテーマ)」「E.T.(フライング・テーマ)」が圧巻のクオリティでした。打楽器と金管がキレッキレで、演奏が全体的に緊密で、これが、かつてジョン・ウィリアムズが振っていたオケなんだ…と!納得感しかありませんでした。十八番ってこういうこと…!

ハリー・ポッターでは、ステージ奥のグランドピアノ横に置かれたシンセサイザー(鍵盤部分は見えず)によってあの有名なイントロが演奏されるや否や、魔法の世界へ🪄人間が本当に弾けるのかなっていうストリングスの高速パッセージがまさに目の前で披露されます。E.T.では壮大なテーマが鳴り渡ったとき、本当に雲の上に飛んでいくような疾走感にクラクラしました。ハープ綺麗だった…。どちらも〈不思議〉を内包する映画だったこともあり、生で聴いたことによるインパクトがすごかったです。これらは本当に聴けてよかったと思いました。

 

エンディング〜アンコール

このあと英語で挨拶がありました。「今日ここで演奏できて、とても感謝している、このような素晴らしい観客と時間を共にできて光栄です」というような内容かと思います、雰囲気でなんとなく伝わりました(違ったらすみません)。そして、おそらく最後の曲となる「42nd street」の紹介だったと思うのですが「special arrangement」と言っていて、実際、めちゃくちゃカッコいいアレンジで演奏が始まりました。手拍子も起こって大盛り上がり。

拍手に応えて始まったアンコール。プログラムに記載がないので、「知らない曲かもな…」と少し心細く思っていたところ、誰もが知るトランペットのテーマ🎺が冴え冴えと響き、「レイダース・マーチ」であると判明。このときの客席の「おぉ…!」というどよめき、楽しかったですね。ジョン・ウィリアムズ御大の名曲、この演奏がまた、小気味よくて素晴らしかったのですよ!(アンコールながら、私としてはベスト3に入れたいです*4

さらに鳴り止まない拍手に応えて(カテコ的に)芳雄さんも一緒に登場してくれました。マエストロと両手でがっちり握手を交わして、コンマスさんにも握手を求めて退場したあと、オケもはけ始めたところで改めて2人で拍手をしながら一緒に出てきてくれて、スタオベ&みんなでヒューヒュー!!*5親密な空気にあふれた終演となりました。

 

 

名門のコンサートホールというよそゆきの場所でちょっぴり緊張していたなか、芳雄さんが出てきたときは、外国で知っている人に出会えたような安堵感がありました。そうしていつものように笑わせてもらったり、演奏に聴き入っているうちに、ボストン・ポップスとその音楽ともいつの間にか「ともだち」になれたような気がします🎼

芳雄さんのおかげで、一流の演奏を肩肘張らずに楽しむという稀有な経験ができました。サントリーホールに連れてきてくれてありがとう!!

 

https://x.com/bp_japantour/status/171175004074

 

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追伸(?):会場で、手が滑って「裏切らない芳雄4時間スペシャル」の円盤を買いました*6

 

 

*1:順番はどっちだったかな、「有名な歌手で俳優でもある」だったかな…?

*2:レミゼは未履修なのですが…

*3:個人的に中学校の完全下校の音楽だったこともあり一層ノスタルジックな気分に…楽器を片付けて帰らなきゃ

*4:演り慣れてるのは当然として、日本に来てからも別日の公演ですでにやっているみたい。中盤、あれ?ホールの聞こえ方のせいかな…タイミングが…と思った場面も実はあったのだけど、ジョン・ウィリアムズを演奏し始めてから嘘のように締まったので多分気のせいではなかった。リハ回数って大事ですね

*5:私はムーラン・ルージュ以降、わりと吹っ切れてヒューヒュー言えるようになっちゃったんですけど(芳雄さんが煽ったら)、もしかして他の人もそうだったりする??

*6:来春のバイマイコンに向けて冬くらいに買うつもりだったけど、ポストカードに釣られて今買ってしまった…